犬のワクチンは6種混合?それとも9種混合にする?何を基準に決めたらいいのか、アレルギー反応は大丈夫なのか、動物看護士が分かりやすくお伝えします

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狂犬病の予防接種と同じように、一年に一度接種しておきたいのが「混合ワクチン」です。

初めてワンコを飼われる方は、混合ワクチンでどんな感染病から守られるのかわからないでしょうし、動物病院では一般的に「5種」「6種」「8種」「9種」があるのでどちらがベストなのかも判断できないと思います。

だったら大は小を兼ねるで「9種」にしておけばいいかしら

と思ってしまいがちですが、ワクチンは「病原体」を少し弱くして愛犬の体内に入れて免疫力をつけるものです。

中にはアレルギー反応で「アナフィラキシーショック」を起こしてしまうワンちゃんもいます。

ワクチンの種類が多ければよいというわけではなく、その子の生活圏にあった混合ワクチンを接種するようにするのも飼い主の役目です。

 

この記事では「犬の混合ワクチン」について、詳しく、そしてわかりやすく解説していきますので、最後までお目通しいただけたら嬉しいです。

 

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そもそも何で打つの?ワクチン接種の重要性と基礎知識

犬のワクチン接種

 

ペットショップで子犬を買うと、「ワクチン1回目接種済み」「ワクチン2回目接種済み」と説明され

3回目のワクチンが終わったらお散歩に連れて行ってあげてくださいね

と言われます。

 

あぁワクチンね、人間も打つもんね。

そして動物病院へ行くと、混合ワクチンにも何種類かあることがわかります。

種類が多ければ高いしなぁ…どれがいいんだろう

と、獣医さんに相談したり、獣医さんから説明されたりもします。

何となくでも「ワクチンってこういう感染症を防ぐんだ」という知識を頭の片隅に入れておくだけで、大切な愛犬に適切な混合ワクチンを接種してもらうことができますよ。

 

そもそも犬のワクチンって何?

ワクチンは、病気が発現しない程度に毒性を弱めた病原体、死滅させた病原体等を含ませたもので、感染症を防ぐために接種されます。

毒性の弱い病原体を体の中に入れることで抗体をつくり、その感染症に対しての免疫ができます。

免疫ができると、いざ感染源(病原体)が体の中に入ってきたら攻撃を開始して、病気を発症させない、発症しても軽い症状に抑えることができます。

犬の感染症の中には、伝染力が強く死亡率も高いものもありますので、感染予防のために必ず接種するようにしましょう。

 

犬のワクチンにはどんな種類があるの?どんな感染症を予防できる?

ワクチンで予防できる感染症は全部で8種類。

そのうちの1種類は「狂犬病」で、狂犬病ワクチンは混合ワクチンではなく、単独で毎年の接種が義務付けられています

狂犬病予防接種については「狂犬病予防接種を受ける時期や料金は?忘れたらどうなる?」の記事で詳しく解説していますので、ご覧になってくださいね。

それでは、「狂犬病」以外の7種類の感染症について説明していきます。

 

犬パルボウイルス感染症

発熱、食欲不振、元気消失、嘔吐に始まり、トマトジュースのような血便下痢)を起こします。

生後2ヶ月未満の子犬が感染すると、心筋炎で急死することもあるので要注意です。

伝染性が強く、症状の進行も早く、死亡率も高い、非常に怖い感染症です。

感染犬の糞便や汚染された環境から、口や鼻を開始て体内に侵入して、血流に入って全身へ運ばれます。

 

犬ジステンパー

「パルボウイルス」同様、伝染力の強い感染症のひとつで、死亡率も高いです。

感染犬との直接接触や、鼻汁や唾液、目ヤニなどの分泌物、糞便や尿などの排泄物との接触、飛沫の吸入により感染します。

症状の出方にはかなり幅があり、無症状から死亡まで多様

発症初期は、一定しない発熱を繰り返し、鼻汁、くしゃみ、結膜炎、食欲不振、白血球の減少がみられます。

続いて、下痢や血便、肺炎が起こりますが、痙攣や震えなどの強い神経症状が現れることもあり、神経症状が落ち着いても後遺症が残ってしまうこともある怖い感染症です。

 

犬伝染性肝炎

「アデノウイルスⅠ型ウイルス」の感染によって発症する感染症ですが、感染初期は「犬ジステンパー」と見分けるのが難しいです。

感染犬との直接接触や、鼻汁や唾液、目ヤニなどの分泌物、糞便や尿などの排泄物との接触により感染します。

全体的な死亡率は10%~30%ですが、子犬の死亡率は高いです。

感染初期は元気がなくなり、水っぽい鼻水が垂れ、涙が出て、発熱が続きます。

また、お腹が張ったり肝不全の兆候も見られます。

だんだん回復してくると、目が白く濁ったり、「ブルーアイ」と言われる角膜混濁が起こる場合もあります。

 

犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウイルスⅡ型感染症)

ちょっと感染症名が長くて覚えにくいですが、「犬アデノウイルスⅡ型感染症」と言われることが多いです。

犬伝染性肝炎が「犬アデノウイルス型」に対し、こちらは「型」が原因です。

私は学生時代、ごっちゃになってしまって、テストで頭を悩ませていました^ ^;

 

集団飼育で感染しやすく、ケンネルコフ(犬のカゼ症候群、後述します)主要病原体のひとつ。

単独感染での死亡率は低いですが、他の感染症と混合感染してしまうと重篤化するので、注意が必要です。

発熱、食欲不振、短く乾いた咳(コンコン、ケッケッなど)が特徴的で、興奮や運動などで誘発されることが多いです。

咳は数日から数週間で収まってきますが、中には1年近く咳が続いてしまうこともあります。

 

犬パラインフルエンザウイルス感染症

「犬伝染性喉頭気管炎」と同じく、集団飼育下で感染しやすく「ケンネルコフ」の主要病原体のひとつです。

伝染力が非常に強い感染症ですが、単独感染での死亡率は低いです。

感染犬との直接接触や飛沫感染で、侵入したウイルスは鼻粘膜、咽頭、機関誌で増殖します。

発熱、くしゃみ、咳、扁桃炎を引き起こし、二次感染を起こすと肺炎などに進行してしまいます。

 

ケンネルコフ

犬風邪」とも呼ばれます。
「犬アデノウイルスⅡ型」や「犬パラインフルエンザウイルス」をはじめ、気管支敗血症菌、犬ヘルペスウイルス、マイコプラズマなどのウイルスや細菌などが、単独あるいは組み合わせって感染することにより引き起こされます。
単独の病原体での発症では症状は軽いことも多いのですが、いくつかの病原体の混合感染をしてしまうと重篤になってしまうので要注意です。

「ケッケッ」という乾いた咳が特徴で、合併症が起こらなければ、数日~2週間ほどで症状は治まってきます。

 

犬コロナウイルス感染症

単独での発症であればそんなに症状が重くなることはありませんが、「犬パルボウイルス感染症と併発すると重篤化し、命にかかわることもありますので、「パルボウイルス」と「コロナウイルス」を一緒に予防することが重要です。

感染犬の糞便や汚染された環境から口や鼻を介して侵入し、消化管で増殖します。

嘔吐と下痢が主な症状で、子犬は二次感染を起こして重篤化することがあります。

 

レプトスピラ感染症

動物と人間の共通感染症(人獣共通感染症)のひとつです。

「共通感染」なので、動物から人間へ(その逆もあり)感染してしまう怖い病気です。

感染源は主にドブネズミが持つ「レプトスピラ菌」で、尿から排出されたレプトスピラ菌が犬や人の皮膚に触れることで感染します。

「レプトスピラ菌」は数種類あり、感染した菌によって症状が異なります。

 

【代表的なレプトスピラ菌】

  • 歯ぐきの出血や黄疸が見られる「黄疸出血型」(肝臓が冒される)
  • 高熱、嘔吐、下痢を起こす「カニコーラ型」(消化器が冒される)

 

昔は農村部で流行していた、いわゆる「地方病」でしたが、最近ではアウトドアを楽しむ地域や都市部でも感染が見られるようになりました。

海、川、山など、アウトドアレジャーを楽しむワンちゃんは、必ず「レプトスピラ感染症」のワクチンを接種しましょう!!
キャンプへ行くワンコは必須ですよ!!

 

単独ワクチンと混合ワクチン

それぞれの感染症をピンポイントで予防する【単独ワクチン】と、いくつかの感染症予防を一度に行える【混合ワクチン】があります。

「犬のワクチン」といえば、【混合ワクチン】のことを指すのが一般的です。

混合ワクチンは、「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」の組み合わせで、各種メーカーから販売されています。

 

コアワクチン

日本国内で暮らす全ての犬猫に接種するよう勧告されているワクチンです。

犬の「コアワクチン」は次の4種です。

  • 狂犬病
  • 犬ジステンパー
  • 犬パルボウイルス
  • 犬伝染性肝炎

 

ノンコアワクチン

個々の犬猫の「居住場所」「活動量(移動の有無)」「家族構成」「病原体との接触リスク」などを獣医師が考慮して決めます。

犬の「ノンコアワクチン」は次の3種です。

  • レプトスピラ症(血清型の違う2~3種類)
  • 犬コロナウイルス
  • 犬パラインフルエンザウイルス

 

混合ワクチンの種類

ひとえに「混合ワクチン」といっても、いくつか種類がありますので、解説していきますね。

「〇種混合ワクチン」と呼ばれていて、「〇種」は前述の感染症の種類になります。

最近では「2種」「5種」「6種」「7~11種」に分かれていて、代表的なものは「6種」と「9種」です。

ちなみになぜ「7~11種」と一括りにしたのかというと、ここはすべて「レプトスピラ」だからです(レプトスピラ菌は数種類あるので)。

 

2種混合ワクチン
  • 犬ジステンパー
  • 犬パルボウイルス感染症

 

5種混合ワクチン

「2種混合ワクチン」に加えて

  • 犬伝染性肝炎
  • 犬伝染性喉頭気管炎(犬アデノウイルスⅡ型感染症)
  • 犬パラインフルエンザウイルス感染症

 

6種混合ワクチン

「5種混合ワクチン」に加えて

  • 犬コロナウイルス感染症

 

7~11種混合ワクチン

「6種混合ワクチン」に加えて

  • 犬レプトスピラ感染症

 

犬レプトスピラ感染症は前述のとおり数種類あるのですが、「8種混合」ならレプトスピラ感染症ワクチンのうちの2種類、「9種混合」なら3種類、「11種混合」なら5種類を予防できます。

動物病院では「8種混合」「9種混合」がメジャーです。

ちなみに、私が勤めている動物病院は「8種」、うちの愛犬がお世話になっている動物病院は「9種」を採用しています。

 

結局、何種を打てばいいの?

だいたいの動物病院では、「5種」「6種」と「8種」「9種」が主流になっています。

「5種」と「8種」、「6種」と「9種」の採用が多いみたいですね。

 

では、愛犬はどちらを接種すべきか…悩ましいですね。

答えは、この記事の冒頭でもお伝えした通り、「生活圏に合った」方を打てば大丈夫です^ ^

「生活圏に合う」というのはつまり

「レプトスピラ」の予防が必要かどうか

で判断すればよいのです。

 

たとえば、東京都心に住んでいて、アウトドアはしない…という都会派の方であれば、「5種」または「6種」(かかりつけの動物病院で採用している方)で問題ありません。

そして、我が家のようにキャンプに行ったり、「犬と一緒にカヌーします!」「ワンコと高原へ遊びにいきます」「海や川で遊ぶの大好き」という場合は、「8種」もしくは「9種」(かかりつけの動物病院で採用している方)を選びましょう。

あと、自宅近くに山や森・林、田んぼ、畑などが多いなど、自然豊かな場所にお住まいであれば「8種」「9種」推奨です。

 

混合ワクチンを接種するタイミングはいつ?

混合ワクチンは狂犬病予防接種と違い、接種の時期は法令等で決まってはいません。

1年中、いつでも動物病院で打つことが出来ます。

 

混合ワクチンは、接種して約3週間で免疫がつきます

子犬のワクチンプログラムが終了したら1年後に接種しましょう。

その後は、1~3年ごとに接種すると免疫力を保つことができると言えます。

「1~3年」と幅を持たせてあるのは、生活スタイルお住まいの地域での感染リスクワンコの体調や持病の有無などによって獣医さんと相談しながら接種するのが望ましいからです。

キャンプへ連れて行くことが多い我が家の愛犬は、毎年同じ時期に混合ワクチンを接種するようにしています。

混合ワクチンと狂犬病予防接種との間は1ヶ月は空けてくださいね。

 

副作用やアナフィラキシーショックも有り得る!混合ワクチン接種後の注意点

アナフィラキシーショック

 

日本小動物獣医師会の2007年の調査によると、ワクチンを接種した犬のうち、200頭に1頭の割合で何らかの副作用が見られたそうです。

また、ワクチンで死亡してしまう確率は3万頭に1頭ほど。

 

このように、具体的な数字を見るとリスクが高いのではないかと接種を躊躇してしまうかもしれませんが、ワクチン接種をせずに何らかの感染症にかかってしまった場合には、死亡率が非常に高くなります。

人間も同じで、アレルギー反応が出てしまう人がいるように、犬もワクチンに対してアレルギーがあったり、その日の体調でアレルギー反応が出てしまうケースもあります。

感染症にかかってしまった後では治療が難しい場合もあり、最悪の場合には死を迎えてしまうことも十分に考えられるので、ワクチンは接種しておくべきだと考えます。

 

アレルギー反応(副作用)はどんな症状があるのか

ワクチンによる副反応(ワクチンアレルギー)は、ワクチン接種直後~約2時間以内に起こるアレルギー反応です。

ワクチン接種後のアレルギー反応は、さまざまあります。

代表的なものは以下の症状です(他にもありますが)。

  • 流延(よだれ)
  • 嘔吐
  • かゆみ
  • じんましん
  • 顔面腫脹(ムーンフェイス)

「ムーンフェイス」は、目の周り・口の周りが腫れる症状です。
ボクシングで殴られたように腫れて目が開かなくなります^ ^;

人間もアレルギーで、目の周りが腫れてしまう人がいますよね。
それと同じような症状です。

 

さらに重症化したものを「アナフィラキシーショック」と言います。

  • 虚脱(意識が低下し、立ち上がって体を動かすことができない状態)
  • 失神
  • 呼吸困難

などを起こし、死に至ることもあります。

ミニチュアダックスはアレルギーが起きやすいので、注意して様子を見てあげてください。

 

ワクチン接種当日に注意すること

  • 発熱時(平熱より1℃以上高い)、シーズン中妊娠中は接種を控える
  • 接種後2時間は、ワクチンアレルギーの症状が出ていないか注意する
  • 接種後、普段と様子が違うことが続くことがある(元気がない、食欲低下)
  • アレルギー反応が出てしまった時にすぐにかかりつけの動物病院で診てもらえるよう午前中にワクチン接種を行い接種後30分くらいは動物病院に留まって様子を見るか、すぐに動物病院へ連れて行けるようにしておく(病院まで時間がかかる場合は、帰宅せずに動物病院の近くで待機する)
  • 接種当日~翌日くらいまでシャンプー激しい運動水浴びは控える

 

ワクチン接種後に、愛犬の様子がおかしいと思ったら、動物病院へ連れて行きましょう。

重症化しないように対処することが大切です。

 

犬の混合ワクチン接種まとめ

犬のワクチン接種

 

混合ワクチン接種は狂犬病と違い義務ではありませんが、感染症にかかってしまうのはとても怖いので、接種することをおすすめします。

お住まいの地域、居住の環境、自然と触れ合う機会などを獣医さんに相談しながら考慮して、何種混合ワクチンを打つのか決めましょう。

ワクチンアレルギーは重症化することもあるので、接種後2時間はしっかり愛犬の様子を見てあげてくださいね。

 

狂犬病予防接種とは1ヶ月以上空けて接種しましょう。

 

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