ここ数年、テレビなどでマダニに対する注意喚起がされています。

マダニマダニって騒がれているけれど、そもそも何が怖いのかしら?

噛まれたらどうなるのかな?病院に連れて行った方がいいの?
こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回は、今さら聞けないマダニの基礎知識から、重症化することもある怖い感染症まで一気にお伝えしていきますよ。
マダニってどんな虫?まずは基礎知識から
マダニは8本足の虫で、昆虫ではなく蜘蛛やサソリに似た節足動物です。
昆虫は6本足なので、8本足のマダニは昆虫ではないんですね。
ちなみに私はこの世の何よりも蜘蛛が嫌いなので、同じような風体の虫も同様に苦手です…。
種類は多く、世界で800種、日本では50種のマダニが生息していると言われています。
日本に生息する50種類のうち、約20種が犬に寄生します。
マダニは吸血して生きていく
マダニは動物の血液を唯一の栄養源として生きています。
幼ダニ・若ダニは「発育」「脱皮」のため、そして成ダニは「産卵」のために吸血します。
血液を吸われるだけでは私たち動物にとって致命傷にはなりませんが(血を取られることによって貧血を起こすことはあります)、この吸血の時にウイルスや原虫・細菌などが体内に入ってしまうことで、時に命に関わるような重大な症状を発症してしまいます。
詳しくは後ほど。
マダニの大きさは?吸血前と吸血後では大きさが違う?
マダニの大きさは、吸血前で2mm~3mmほど。
家の中などに生息する「イエダニ」等に比べると大型です。
とはいえ、昆虫などと比べたら小さいと言えば小さい虫なのですが、動物から吸血すると何倍もの大きさになるホラーな生き物です。
吸血後はおおよそ1cmくらいになるのが多いですね。
虫が苦手な方もいらっしゃると思うので、この下の写真は【閲覧注意】ではありますが…吸血前と吸血後の大きさの比較写真をご紹介します。
出典:田辺獣医科病院
気持ち悪いですねー…(;´Д`)
マダニの種類や吸血量によっては、500円玉ほどの大きさになるものもいます。
なかなか気持ち悪いので、興味のある方は下のリンク先の記事に画像がありますので見てみてください(自己責任でお願いいたします・笑)。
>> マダニによるウイルス感染症=重症化して死亡したケースも(時事ニュース)
犬がマダニに咬まれるとどうなるの?どんな症状が出るの?
出典:かもがわ動物クリニック
先ほどお伝えしたように、マダニは動物の血を吸って生きていきます。
犬がマダニに咬まれたらどうなるのでしょうか。
・アレルギー性皮膚炎
・バベシア症
上記のような症状が現れます。
それでは、1つ1つの症状について詳しくお伝えしていきますね。
貧血
シンプルに「血を吸われる(血を取られる)」ため、体内の血液量が少なくなり貧血を起こします。
- 結膜や粘膜が白っぽくなる
- 元気消失
- 食欲低下
- 疲れやすい(動きたがらない)
などの症状が現れます。
元気消失、食欲低下、疲れやすいなどの症状は他の病気でも現れやすいですが、粘膜等が白くなっているのは貧血を起こしている可能性がとても高いため、注意して見てあげてください。
観察する部位は次の4つです。
- あっかんべーをした時に見える目の下の結膜
- 舌
- 歯ぐき
- 耳の裏(内側)
これらは通常ピンク色をしていますが、貧血を起こすと白くなります。
私たち人間も、あっかんべーをして結膜などで貧血かどうかチェックしますよね。
もし愛犬がぐったりして元気がないようであれば、貧血の可能性を疑って粘膜チェックをしてください。
アレルギー性皮膚炎
マダニを介しての感染症というよりも、マダニに咬まれることで、マダニの唾液の中にあるアレルゲンによって皮膚炎を起こしてしまいます。
強いかゆみに襲われるので、ひっきりなしに体を掻きむしるようになります。
足で掻いたり、歯でガリガリ噛んだりして出血することもあります。
バベシア症
「バベシアカニス」または「バベシアギブソニー」という原虫が血液中の赤血球に感染することによって、溶血性貧血が発症する病気です。
このバベシア原虫に感染したマダニが犬の血を吸血する時に、バベシア原虫がマダニから犬に移動して感染してしまいます。
日本では、バベシアカニスは沖縄地方で、バベシアギブソニーは西日本を中心に発生・流行しているのですが、近年では東日本でも犬への感染が見つかっています。
マダニに吸血されることによる貧血よりも重度の貧血となります。
貧血の症状が出ますが、赤血球がどんどん壊されていくので、治療をせず放置すると死に至る、大変怖い感染症です。
犬だけじゃない!人にも感染する「マダニ感染症」
「マダニ感染症」という病気があるわけではありません。
マダニが媒介するウイルス感染症の総称・通称として「マダニ感染症」という言葉が使われています。
先ほどは、マダニを介して犬に病原体が入り込んでしまうことによる感染症「バベシア症」についてお伝えしました。
今度は、マダニから私たち人間に感染する病気をお伝えしていきますね。
マダニ感染症の種類
マダニから人間への主な感染症は次の5つです。
- 日本紅斑熱
- ライム病
- ダニ媒介性脳炎
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- オズウイルス
日本紅斑熱
「リケッチア」と呼ばれる細菌の中のひとつ「リケッチアジャポニカ」による感染症。
この病原体を持ったマダニに咬まれることで感染してしまいます。
「日本」紅斑熱という病名からもわかるように日本特有の疾患で、名前の通り赤い発疹が見られ、発熱、そして頭痛も伴います。
抗生物質の投与を中心に治療を行います。
ライム病
「ボレリア」と呼ばれる細菌を、マダニの中の一種「イクソデス・マダニ」が媒介することにより感染する病気です。
大き目の紅斑の外側に輪っかができる発疹が特徴です。
出典:Yahoo!ニュース
世界的な歌手、ジャスティンビーバーもライム病を患ったというニュースもありましたね。
>> 日本でも要注意 ライム病ってどんな病気?(Yahoo!ニュース)
ライム病に感染すると、はじめは上のような紅斑とインフルエンザのような症状が出ます。
その後、治療をせず細菌「ボレリア」が血液の流れに乗って全身へ広がっていくと、行き着いた臓器などで症状が現れるようになります。
たとえば、神経であれば神経症状(髄膜炎、顔面神経麻痺、脊髄神経炎など)、目であれば角膜炎などです。
細菌が心臓で悪さをすると、命に関わる症状を引き起こすことになります。
重い不整脈などですね。
更に治療をせず数ヶ月が経過すると、重度の関節炎を発症することもあります。
特に膝関節に症状が現れることが多く、腫れや痛みが顕著になるようです。
また、気分障害や記憶障害などの神経系異常や重い皮膚炎になることもあるので、必ず早い時期に治療を始めましょう。
ダニ媒介性脳炎
日本紅斑熱とライム病はマダニに咬まれることによって「細菌」に感染する病気でしたが、ダニ媒介性脳炎はフラビウイルス科に属する「ウイルス」に感染してしまう病気です。
そう、ウイルス。怖いですね~。
そして…怖いのが、感染したことにより引き起こされる症状です。
病名にもある通り「脳炎」を発症します。
具体的には「髄膜炎」「脳炎」「髄膜脳炎」などです。
ダニ媒介性脳炎は人獣共通感染症なので注意が必要です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
最近、テレビなどでも感染のニュースが流れることがありますよね。
そして、そのニュースはこの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)でヒトが亡くなったというものです。
このSFTSもウイルスが病原体の感染症です。
発熱・吐き気や嘔吐・腹痛・下痢などから始まり、ときに筋肉痛・神経症状・リンパ節の腫れなども伴います。
これもまたインフルエンザの症状に似ていますかね。
重症化すると死に至る怖い感染症です。
オズウイルス
オズウイルスは2018年に日本国内のマダニから検出されたウイルスで、マダニが媒介する感染症としては比較的新しいものです。日本で生息するマダニの中でも「タカサゴキララマダニ」が媒介すると言われています。
2023年6月には、世界で初の「マダニが媒介するオズウイルスでの死亡事例」が発表されました。くしくも日本国内で、日本人の感染・死亡事例となります。
NHKニュース:マダニ媒介「オズウイルス」で死亡 初めて確認 茨城の70代女性
オズウイルスによる感染症の発症例が少ないことから有効な治療法は2023年6月現在では確立されておらず研究も急がれるところですが、症状が出た場合には対症療法しか手立てがないところが悩ましい問題です。
マダニ感染症の予防方法は?
マダニは犬や人間にとって怖い病原体を感染させる、感染リスクの面からするととても厄介で怖い存在です。
マダニに咬まれて感染してからでは身体に大変なリスクもありますので、感染を予防することが本当に大切です。
予防方法は、月1回の予防(駆虫)薬です。
動物病院で獣医さんに「マダニの薬が欲しい」と相談すると、処方してもらえます。
錠剤タイプやチュアブル(お肉のようで少し柔らかい)タイプなどがありますので、獣医さんに説明してもらって下さいね。
私もマダニの予防や対策についてどんどん情報を発信していきますので、ぜひワンちゃんもそして飼い主さん自身もマダニには十分気を付けていただきたいと思います。