私は今、動物病院で「看護師兼トリマー」として働くかたわら、自分のお店(トリミングサロン)を開店させるために少しずつ準備を進めつつ、休日に近所のお宅のワンちゃんのトリミングをさせていただいています。
ありがたいことに、クチコミで飼い主さんから飼い主さんへとご紹介いただいていますが、その理由は、トリミングをさせていただく初回は必ず飼い主さんに見学してもらうので、その後も安心して任せていただけるからなんです。
トリミングサロンで、大切な愛犬がシャンプーやカットをされているところを見学できるところはまだまだ少ないと思います。
でも、トリマーが大切な愛犬をどのように扱うのか、作業中の愛犬の様子はどんな感じなのか、ぜひ飼い主さんは知っておく必要があると考えます。
ぜひ、可愛い愛犬の飼い主さんには、トリミングサロンでどのような道具が使われ、どのようにシャンプー・ブロー・爪切り・カットがされていくのか、知っておいてほしいと思います。
今回は「ブロー」について、私が便利な道具をあえて使わない理由をお話ししたいと思います。
トリミングでのブロー
「ブロー」といえば…言うまでもないですよね ^ ^;
そう、シャンプーの後に濡れた毛を乾かす工程です。
さて、ブローにはどんな道具が必要でしょうか。
ドライヤー
一般的には上のイラストのような「スタンドドライヤー」というものを使います。
人間用のハンドドライヤーに比べて風量が多く、細かく温度調整が出来ますし、ドライヤーを片手で持つ必要がないので、両手が空いて作業がしやすいです。
トリミングサロンでは、時間短縮を徹底します。
作業時間を短くすることで犬の体の負担を減らす理由もありますが、回転を良くする(1日の作業頭数を増やす)目的もあります。
ですが、作業時間を短くして犬の体の負担を減らすために、犬を怖がらせてしまうこともあるような道具を使ったりもします。
その道具が、この「ブロワー」です。
クリック先のネットショップに詳しい画像や動画がありますので見てみてください。
ブロワー(ブロアー)
ブロワーは「乾燥させる」ドライヤーとは使い道が違い、「水を飛ばす」道具です。
ドライヤーよりも強い風がホースから出て、その風圧で毛についた水分を飛ばします。
使い方としては、ブロワーで水分をおおかた飛ばしてから、ドライヤーで乾かすことが多いです。
しかし、中にはこのブロワーをドライヤー代わりに使うお店もあります(私がインターンでお世話になったトリミングサロンも数店、そういう使い方をしていました)。
ブロワーを使うことが悪いというわけではありません。
特に長毛や毛量の多い大型犬・超大型犬は、ドライヤーだけでは時間がかかってしまいますから、はじめにブロワーである程度水分を飛ばしておくのも方法のひとつだと思います。
それについては、私は否定するつもりは一切ありません。
でも、小型犬、特にチワワやヨーキー(ヨークシャテリア)のような超小型犬に使う必要はないと思っています。
なぜなら、ブロワーはかなり大きな音がするので、音が大きいと言われるダイソンの掃除機と同じくらいか、それ以上の大きな「コーッ!!」という音がするので、掃除機が嫌いなワンちゃんや大きい音が苦手なワンちゃんはビックリして怖がってしまいます。
また、先ほどもお伝えしたとおり、強い風がホースからすごい勢いで吹き出すので、チワワやヨーキーなどの小さくて軽い子は風圧で飛ばされる危険性もあるんですね。
どのくらいの風圧なのかというと、ホースの先から20cmくらい離した先に手の甲をかざすと、手の甲の皮膚が風圧で波打つくらいです。
これって、けっこうな風圧だとは思いませんか?
ドライヤーに手をかざしても、皮膚が波打つなんてありませんよね。
ボックスドライヤー
ボックスドライヤーとは、ケージ・犬舎のようなボックスの横や上・床下から温風が出て、毛や皮膚を乾燥させる機械です。
毛を全て乾かすためではなく、【半乾き】させるために使われます。
このボックスの中にワンコを入れてスイッチを押せば、あとは手が空いて他の作業ができるため、採用しているトリミングサロンも増えています(機械自体が高額なので、トリマーが複数在籍しているお店でよく使われています)。
学生時代のインターン先で、このボックスに入れられているワンちゃんの様子を観察していると、「静音」をうたっている商品もあるとはいえ風が出るのである程度の「ブォーッ」という音はしますので、怖くて壁にピッタリくっついて震えているワンちゃん、「出して!」と正面のアクリルドアをガリガリすごい勢いで引っ掻くワンちゃんが多かったです(気持ちよさそうにしていたり、くつろいでいるワンちゃんはほぼいなかったかな)。
また、作業中のトリマーから見えない奥の部屋にこのボックスドライヤーが設置されているお店にインターンに行ったこともあり、もしワンちゃんがこの中にいる間に体調の変化などがあったらどうするんだろう…と疑問に思うこともありました。
たしかにトリマーとしては、本来ならドライヤーで行う【半乾き】という工程を省くことができるので効率よく作業ができるのだと思います。
でも、犬は怖がったり興奮状態になってしまうことが多いので、ブロワーもそうですが、ワンちゃんの性格や体格に合わせて使うべきではないかな、とは思います。
とことん犬目線、飼い主目線でトリミングをしたいから
私はインターン先や以前勤めた動物病院のトリミング室で、ブロワーやボックスドライヤーを怖がるワンちゃんをたくさん見てきました。
もし自分が犬の立場だったら、そしてワンちゃんを家族の一員として大切にされている飼い主さんの立場だったら、自分の愛犬だったらどう思うかを常に考えています。
だからこそ、ワンちゃんが安心して身を委ねてくれるブローを心掛けています。
ブロー中、神経質な日本犬の柴ちゃんだって、こんなにリラックスしてくれるんですよ^ ^
こうやってワンちゃんが寝転がってブローされているのを見るのは初めて、という方も多いと思います。
一般的には、ブローは立たせて行うものという認識が強いのではないでしょうか。
でも、脚や股関節の悪い子、老犬は立ちっぱなしが辛い子もいます。
そういう子でも、こうやって横になって寝ながらブローすれば脚への負担もありませんし、何よりリラックスできるので、ドライヤーの温かい風に吹かれて寝ている間に毛がフワフワに乾いてしまうんです^ ^
このブローについてトリマーさんにお話しすると、全員が全員
じゃあ、寝ない子はどうするの?寝る子ばっかりじゃないでしょ
と、不機嫌そうに仰るのですが…(´-ω-`)ショボン
たしかに、今まで寝てブローされたことのない子は、はじめは寝ることを拒んだりもします。
でも、そっと寝かせてあげて優しくブローすることで、ワンちゃんも「怖くないんだ、気持ちいいんだ」とわかってくれると、力を抜いて寝てくれます。
これを毎回繰り返していくと、自分からゴロンと寝てくれるようにもなるんですよ^ ^
シャンプーもブローも「気持ちいいんだよ(*^ ^*)」。
もし愛犬がトリミングに行くのをすごく怖がったり嫌がったりしていたら、一度トリミングを見学させてもらって、トリマーが愛犬をどのように扱うのか、どういう道具を使っているのかを確認するのも良いかもしれません。
「お問い合わせフォーム」からご連絡いただければと思います^ ^
批判じゃないんです!私が伝えたいこと まとめ
この記事を読んで「自分のお客が欲しいから、他のトリミングサロンを批判してるんじゃないの?」と受け取られた方もいるかもしれません。
でも、それは本当に本意ではありません。
私は犬が大好きで、犬は喋れないからこちらが何を考えているか、何を思っているかを汲み取ってあげないといけないといつも思っています。
そして、飼い主として、愛犬が怖い思いをしたり嫌な思いをするのはかわいそうで見ていられません。
だから、「犬の幸せ」を常に考えています。
このブログを立ち上げたのも、犬が幸せに暮らせるように、飼い主さんに色々と知ってもらいたい、考えてもらいたいと思ったからです。
キャンプや旅行についてたくさん記事を書いているのも、お出かけする時はどこへでも連れて行ってあげて欲しいからです。
大好きな飼い主さんといつもと違う景色を見る。
これだけで、犬には良い刺激となります。
旅行に行くから犬はペットホテルに預けていく、犬がいるから出掛けられない。
そうではないんです。
トリミングサロンの実態を書くのも、同業者から批判が来るんじゃないかとか、実は怖いんです。
でも、飼い主さんの大切な大切な愛犬のためを思ったら、これは飼い主さんに知っておいて欲しい情報なので、発信しています。
決して、お客様を獲得するためでも、批判目的でもありません。
ワンコと飼い主さんの幸せのためです。
ワンコも飼い主さんも幸せになる情報をこれからも発信していきますし、トリマーとしてもワンちゃんが心からくつろげるトリミングができるトリマーでいたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします^ ^